音読が暗記にどれだけ有効なのか計測してみた

今は語学の学習というと、シャドウイングや様々な音読が定番になっています。テレビの予備校のCMでは、「英語なんか五回も音読すれば誰だって暗記できてしまうんだ」みたいなメッセージに、本当にそうなのかしらん。と、思いつつ、短文の暗記には、いったいどのくらい音読をすればいいのか計ってみました。


というのは、昨年から中国語をはじめて以来、中国語に私が費やした時間というと、「発音を意識した音読」が殆どだったのですが、昨年、数百回の音読をしても暗記ができなかったという自分の記憶力の悪さを呪ったことがありました。またそのあとに、「心に残る中国語」一冊を暗記したのですが、これは老師の前で成果発表という音読の場があるので、音読もしましたが、テキストを暗記するための方法としては、殆どは黙読による精読と、一文ずつ頭の中で繰り返すことで暗記をしました。
結果的に、それでも完全には暗記できたわけではないのですが、音読よりも
わたしには頭の中でただ読んだ方が文章は覚えやすいと思いました。


が、それも同じ条件できちんと計測したわけではないし。ということで、わざわざ音読と黙読でどちらが早く文章を暗記できるか計ってみました。
使ったテキストは「口が覚える中国語」で、一頁10の短文があります。
一頁ずつ音読だけで暗記する頁と、黙読だけで暗記をする頁にわけました。
頁によって難易の差が若干はありますが、複数の頁を繰り返せばそれも均されると考えました。自分で「これは覚えた」と思ったところでCDの日本文のあとに、完璧に中国語の音読ができるまでの時間を計りました。
テキストで使われる単語は、どれも未知の単語は殆どないので、与えられた日本語に該当する、解答例と全く同じ単語と語順を覚えるという暗記作業です。


結果を言うと、黙読だけで覚えた方が、遙かに早く暗記ができ、正解の音読ができました。
結局は黙読の方が時間内に早く繰り返すことができるので、その繰り返す回数が影響をしているのかもしれませんが、たしかに10の文章だと慣れてくると10回程度黙読をするだけで、暗記をすることができました。
ただ、それは超短期暗記でしかなく。また、暫くしてから日本文を読むんでも反射的には出てこないという問題もありました。
音読の方は、10回どころか、約30分間延々と音読をしても、この一頁の10短文を完璧に暗記することができませんでした。
短期暗記が出来ない音読ですので、当然時間を開けてから記憶に残っているという恩恵にも与れませんでした。
本当はこの黙読と音読を交互に全60課まで進めていこうと思ったのですが、音読だけだとあまりに効率が悪いので、今は行きの電車で黙読をして3頁分の30の短文を覚え、昼休みに歩きながらCDを聞きつつ、日本語の後に中国語で言う。また読みあげられた中国語の後にシャドウイングという歩きながら練習で記憶の定着を図っています。


と、これだけで、だから暗記には音読よりも黙読の方がいいということではないのですが、おそらく脳の能力につても個性があるのかと思います。
わたしには四声を聞き分ける力が極端に無いこととも、もしかしたら関係があるのかもしれません。
またわたしの場合は、未だに中国語を音読すると音を真似するという意識があまりに高くなってしまい、「意味が脳に刷り込まれない」という欠点があるようです。
もう少し時間が経って、細かな発音や四声を意識しなくなれば、格段と音読をした方が文章の記憶に効くのかもしれません。
常に発音を意識するためにも、今は音読をせざるを得ないということと、音読をしてこそ、中国語についてはささやかな達成感のようなものがあるので、やはり音読を止めるわけにはいきません。


ただ、最近は語学の学習というと、あまりに音読絶対主義であるようなので、個人の状況によっては、「必ずしもそうではないこともある」ということを書いてみました。