くだんの件について
先週中国の朋友と話していて、日本の小説をひとつだけ教えてほしいという難問を聞かれました。この手の質問は、本当に読んで面白かったと思われたいのですが、わたしが勧めた小説と思われると自分が値踏みされるようで躊躇してしまいそうなのですが、この時は、迷わずに内田百輭の「件」を薦められました。
はたして中国で、内田百輭の小説を探せるのかわかりませんが、きっとどこかのサイトで読めるのでしょう。
わたしは、「くだん」とは、なんとなく中国の神話のような。。「聊斎志異」的な怪談から伝わってきたのかと思っていたのですが、調べてみると日本オリジナルの妖怪らしいです。
- 作者: 内田百けん
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そもそも、この時に迷わずに、「くだん」を薦めてしまったのは、ちょうど前日に小川洋子のエッセイで、内田百輭の「件」の小説を男友達に貸して返してもらうときに「どこが面白いかわからない」と言われて、それきりその男と別れたという話を読んだことと、中国語テキストの「中国語で読む日本と中国のむかし話」に掲載されている「牽牛と織姫」こと「牛郎織女」こと「牛郎织女」の印象がとても強かったからです。
織女星と牽牛星の話は知っているようで、実際のところ知らなかったのですが、調べてみると、また細かな点ではいろいろと違う物語があるようなのですが、この物語に出てくる、神話の人物がみな他の昔話にも関係しているところも、あとは自分で調べようという気にさせてくれて、とても興味深くもありました。
(ここからは、万が一「牛郎織女」の話を自分で読むまで内容を知りたくないひとのために、「ネタバレあり!」ですよ。梅有仁哩?)
この物語が特に印象的だったのは、牛の使い方です。ただ、貧しい家を描写するために、「一匹の牛がいた」という簡単な描写と、また「牽牛と織姫」が一緒に暮らし、子供と牛と平凡に幸せに暮らしました。というまるで風景描写のように扱われていた牛が、「織姫」が、天の両親に連れて行かれてしまいそうになると、突然「牽牛」に対して、「わたしを殺して、その皮を使えば空を飛んで行ける」みたいな話をし出すのです。
ここの「なんで、君が急に?」という感じがとても気に入りました。そして、牽牛も、牛を殺してしまうのですが、この感覚が勝手に「おお、中国マジックリアリズム」と叫んでしまったのです。
ちなみに、この陳淑梅さんの他の話は特に面白いというものはありませんでした。
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百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
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中国では、マルケスの小説が非常に人気があるというのは信じられなかったのですが、この夏に上海に行って、書店に背ほどの高さに積まれた「百年の孤独」が文字通り飛ぶように売れていくさまを見たり、莫言をはじめ中国の現代作家がマルケスに影響されているという話を聞いたりして、勝手に中国物語に潜んだ奇妙な感触を納得しました。
下の写真は、積まれ方が腰あたりですが、この二日前には本当にわたしの肩のあたりまで高く積まれていました「百年の孤独」です。
あ、今見て気づいたのですが、隣にあるのは、安妮宝贝が作った雑誌の「大方」ですね。帰国してから欲しくなって、結局ネットで注文をしました。
またまた、わたしの大切な中国テキスト「家有儿女」には、牛のいろいろな使い方がでてきます。悪い意味でも、いい意味でも使われる、中国の「牛」さまって。数多くの成語にも出てくる、ああ牛たちよ。
・小东西你也想牛。
・我的中文比他牛。
・小兔崽子,还挺牛阿你。
・叫牛牛的,以后再也不敢对咱们牛了。
全て使い分けられれば、あなたは中国語牛2級です。
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というわけで、一時的にわたしの頭の中の7割くらいが牛で覆われた一週間だったので、くだんの「件」を薦めてしまったのです。
ちなみに、その朋友からいただくメールでは、わたしのことを「蜗牛先生」と呼びかけています。そのままでは、「カタツムリ」という意味であることは知っていたのですが、きっと何か中国的な不思議で素敵な意味があるに違いないと、メールをもらいだしてから半年ほど経ってからようやく、「蜗牛先生」の意味を尋ねたところ、「中国語の読む速さが遅いからヨオ」と直球の答えをされてしまいました。「えーーーng。。」と、落ち込みながらも、iMandarinPodで覚えたばかりの、
今后我和你的关系iii,,,(言葉のつなぎ方がわからないときは、那个を使わずに母音を伸ばします) “风马牛不相及哩!”と言いました。「哩」の使い方は全くわかりませんが、相手の真似をして、なんとなく決め台詞(捨て台詞)の語尾には「哩」を付けることにしています。
なんか、笑い声が聞こえたような気もしたのですが、それは「风马牛不相及」の使い方が間違っているので、笑われただけなのかもしれません。
まあ、50%くらいの理解度での会話なので、いつも、牛头不对马嘴な感じです。