四声についてわたしが知っているいくつかのこと

SKYPEで中国語を教えていただいた老師で、特別に日本語が上手な方がいました。
それまで、何年も日本に滞在していたり、長く日本人に日本語で中国語を教えていたという方の日本語を聴いていましたし、また実際には大学生でも、何年も日本に暮らしていたかのようなきれいな発音を聞いたこともありました。
その老師も大学を卒業して社会人になったばかりだということでしたが、最初のレッスンの日本語の一言二言で、日本人としか思えない発音に驚きました。
ここで、日本人のようだ。と感じてしまったのは、母音や子音の一音一音の響きではなく、今風の日本女性が話すような「口調」だったと思います。
それから次第に、日本語だけでなく、英語の発音や、中国語も標準語だけでなく、多くの中国語方言も披露してもらいました。
中国の方言を使えるのは珍しいことではないのかもしれませんが、この人の音の模倣力の達者さに驚きました。そして、どんな歌も一度聴けば歌えてしまう絶対音階所有者の彼女とわたしの共通認識は、音階の再生能力と中国語の四声の表現は“ずううえったい関係がある”でもあったのですが、音痴だからといって中国語の四声が出来無くていいわけではなく、この老師を知って、また老師が辞めるまで、殆ど毎日SKYPEでレッスンをお願いしていた時期がありました。
Zhiよりjiの発音にこだわり、rよりlの発音にこだわり、いつまでも有気音が違うと言われ続け、何声よりも一声にこだわる老師でした。
そしてテキストの音読では、四声と文の区切りを何度も修正されました。間違いを何度も修正されたあと、途中で一カ所でも間違える度にテキストの最初に戻るという、スパルタ練習はなかなか面白く、一時間かけてようやく一単元ができるくらいのペースでしたが、最初は間違いだらけの四声が少しずつ消されていき、ようやく間違いなく短い文章を読み切ると、「ああ、気持ちいい。気持ちよくなった」と喜んでくれました。
相当四声音痴の人間でも、限られた文章を何度も修正され続けると、それなりに間違えずに読み切れるようにはなります。ただ、やはり違う文章にあうと、また同じくらい間違えだらけの四声になってしまう。という想像を超えたわたしの音痴ぶりでもありました。
と、この老師の話は、まだまだ続く予定ですが、話は四声のことについて。


母音子音の発音については、正しい発音方法が説明されていますが、四声については、4種類の音声を日本語的な音の移動として簡単な説明があるだけなのも不思議です。
そもそも四声が出来ない人は中国語のテキストを作らないだろうし、そもそも四声が苦手な人は中国を続けられなくなるのでは?
と真剣に考えているわたしですが、四声が苦手と感じている人にとって、四声の難しさは、単独の単語を読む際に難しさを感じているのではなく、「文章になると四声がきちんとできなくなる」だと思います。
そして、長く四声の間違いを修正し続けられているわたしが分析した自分の四声がきちんと出来なかった理由は下の三つにまとめられます。


・次の単語(四声記号)の四声を準備してしまうことの影響
・連続して同じ音を続けられなくなる
・その単語がもつ日本語の音、もしくは意味の影響
です。


などと、わざわざ箇条書きに書いたからといって、四声が直せるわけでもないのですが、そんなことを意識しながら、少しずつ少しずつ間違いを微調整していくしかないのかもしれません。
ただ、上に書いた老師にも言われたのですが、わたしのような四声が苦手な人は、○声を○声と間違える。というパターンより、実際は、何声でもない音声になってしまうという間違いが一番多い、という指摘にも頷けました。
だからこそ、少なくとも一文章中の一声を常に同じ高さで、「平ら」に出せる。というのが基本だとのことですが、これは簡単なようでいて、それがよく出来ていない様を指摘されました。よく四声を間違えると、その単語の意味が通じないから四声が大切と言われています。
しかし、わたしにとって正しい四声を出す必要だったのは、四声を間違えると、ネットの向こう側にいる老師に気持ち悪がられるから。ただただskypeで繋がっている老師に気持ちよくなってもらいたいから、正しい四声を修正していたような気がします。